お盆に旅行へ行くのは、本当に『非常識』なことなのでしょうか。
ご先祖様への感謝と、家族で過ごすかけがえのない時間。どちらも大切にしたい、その気持ち、よく分かります。
この記事では、お盆の本来の意味を紐解きながら、罪悪感なくお休みを満喫するためのヒントを一緒に探っていきます。
【この記事の要点】お盆の旅行は、必ずしも非常識ではありません。一番大切なのは、ご先祖様を敬う気持ちを忘れないこと。旅行に行く前に家族で話し合い、お墓参りの日程を調整するなど、供養と楽しみのバランスを取ることがポイントです。心穏やかに過ごし、心霊スポットなどは避ければ、きっと素敵な思い出になりますよ
お盆に旅行に行くのは非常識なのでしょうか?

お盆の旅行はなぜダメだと言われるのか
お盆の旅行について、世間では少しタブー視するような風潮もありますよね。一体なぜ「ダメだ」と言われることがあるのでしょうか。
最も大きな理由は、お盆がご先祖様の霊をお迎えする、古くからの大切な宗教行事だからです。仏教では年に一度、この時期にご先祖様が家に帰ってくると考えられています。そのため、家でお迎えの準備をしたり、お墓参りに行ったりすることが習わしとされてきました。
私も昔はお盆の旅行に抵抗がありませんでしたが、最近は先祖への感謝の気持ちを大切にしたいと思うようになりました。みなさんはどう思いますか?
また、お盆は家族や親戚が集まって故人を偲ぶ貴重な機会でもあります。だからこそ、その時期に旅行に出かけるのは、ご先祖様への感謝が薄いのでは?と見られてしまうことがあるのかもしれません。
さらに、お盆休みはどこも混雑し、旅行代金も高騰します。あえてこの時期を選ぶのは、あまり賢明ではないと考える人がいるのも頷けます。
このように、お盆の旅行がダメだと言われるのには、宗教的・家族的な理由と、経済的な理由があるのです。
旅行に行くのは頭が悪いことなのか
だとしても、お盆に旅行へ行くのは、そんなに「頭が悪い」ことなのでしょうか。確かに、これまで見てきたように、宗教的・家族的な理由から、あまり良くないと考える方もいます。
しかし、お盆は数少ない長期休暇であり、家族でゆっくり過ごすには絶好のチャンスとも言えます。毎日忙しく働く現代人にとって、家族サービスのために旅行を計画するのは、ごく自然な選択肢ですよね。
でも、お盆に旅行に行ったらご先祖様に怒られそうで、なんだか怖い…
そのお気持ち、とてもよく分かります。でも、ご先祖様を敬う心を忘れなければ、きっと大丈夫ですよ。例えば、旅行先で静かにお寺へ参拝したり、ホテルで家族と故人の思い出を語り合ったりするのはいかがでしょうか。大切なのは形式よりも、心を込めることだと私は思います。
それに、旅先で日本の文化や歴史に触れることは、巡り巡ってご先祖様を敬う心にも繋がります。お寺や神社を訪れたり、その土地の郷土料理を味わったり…。そうした経験は、私たちが受け継いできたものを見つめ直すきっかけにもなるはずです。
要するに、お盆の旅行をひとくくりに「悪いこと」とは言えません。自分なりの方法で感謝の気持ちを示すのであれば、必ずしも家で過ごす必要はないでしょう。大事なのは、お盆が持つ意味を理解した上で、どう過ごすかを考えることなのです。
お盆中のタブーやNGな行動とは
お盆とはいえ、せっかくの旅行ですから楽しみたいですよね。ただ、いくつか心に留めておきたいタブーもあります。
まず、やはりお墓参りを全くしない、というのは避けたいところです。旅行に出発する前か、帰ってきてからでも構いませんので、ご先祖様へ挨拶に伺えると良いですね。
また、お盆の間は、できるだけ心穏やかに過ごすことが大切です。大声で騒いだり、家族で喧嘩をしたりするのは望ましくありません。特に、不幸があったばかりの家では、派手な行動は慎むのがマナーです。
面白い言い伝えとしては、水遊びも控えた方が良いとされています。これは、ご先祖様の霊をあの世へ送る精霊馬(しょうりょううま)を、誤って流してしまうからだとか。
お盆期間中に避けるべき場所
では、旅行先ではどんな場所に注意すれば良いのでしょうか。
まず、この期間中は「パワースポット」と呼ばれるような神聖な場所へ、むやみに立ち入るのは避けた方が無難かもしれません。ご先祖様の霊を慰める大切な時期ですから、個人的なご利益をお願いしに行くのは、少し控えめにした方が良いという考え方です。
そして、言うまでもありませんが、いわゆる「心霊スポット」へ肝試しに行くのは絶対にやめましょう。お盆は普段以上に不思議な現象が起きやすいとも言われます。自らトラブルを招くような行動は慎みたいですね。
そのほか、神社の奥の院など、普段は立ち入りが制限されている場所にも足を踏み入れないよう注意が必要です。先祖の霊を敬うためにも、聖域は大切にしたいですね。
無理のない範囲でこうしたマナーに心を配り、楽しい旅行にしたいものですね。
2025年のお盆休みはいつからいつまで?
最後に、2025年のお盆休みについて見ていきましょう。一般的に、お盆休みは8月13日~16日の4日間とされていますが、2025年は8月13日(水)から17日(日)までの5連休となるのが一般的です。
2025年は「山の日」が8月11日(月)のため、カレンダー上は3連休となります。そのため、間の平日である8月12日(火)に休暇を取得すれば、8月9日(土)から8月17日(日)までの最大9連休にすることも可能です。
夏季休暇が長い企業では、このような9連休となるケースも珍しくありません。
いずれにしても、2025年のお盆休みは例年通り8月中旬になります。
帰省ラッシュの下りのピークは8月9日(土)~10日(日)、Uターンのピークは8月16日(土)~17日(日)と予想されるため、混雑を避けたい方はこの日程をずらすのが賢明でしょう。
お盆の旅行が非常識とされる理由

では、なぜこれほどまでにお盆の旅行は「非常識」というイメージがつきまとうのでしょうか。その背景にある、日本人が大切にしてきた価値観をもう少し深く見ていきましょう。
親族や先祖を大切にする時期だから
繰り返しになりますが、お盆はご先祖様の霊をお迎えする大切な行事です。この時期に旅行を優先することは、ご先祖様を敬う心が足りないと見なされてしまう場合があります。
私の祖母は毎年、お盆になると親戚一同を家に招き、腕によりをかけて手料理を振る舞ってくれました。当時は「また親戚の集まりか」と少し面倒に感じたことも。でも今思えば、あれが家族の絆を繋ぐ大切な時間だったのだと実感します。
特に、初盆(新盆)の場合は、できる限り法要に参列するのがマナーだと言えるでしょう。初盆とは、亡くなってから最初のお盆のことを指します。故人の冥福を祈るためにも、この年くらいは旅行を控えた方が無難です。
お墓参りや法要など宗教的な意味合いが強いから
お盆は単なる休暇ではなく、宗教行事としての意味合いが強い時期です。
仏教では、お盆に先祖の霊を迎え、供養することが大切だと考えられています。そのため、お墓参りをしたり、寺院で法要に参列したりすることが欠かせません。
特に地方では、今でもお盆の行事が盛大に行われる地域が多く残っています。京都の五山送り火や、長崎の精霊流しなどは全国的にも有名ですよね。
このような伝統行事が根付いている地域では、お盆の旅行に否定的な見方をする人が多いのも事実です。先祖供養を疎かにするのは、先人への感謝の気持ちが足りないとされかねません。
日本人の宗教観は少しずつ変化していますが、お盆の旅行をタブー視する感覚は、今なお私たちの心の中に残っているのかもしれません。
家族で過ごす大切な時間を優先すべきだから
核家族化が進み、普段はなかなか家族と過ごす時間が取れない人も多いのではないでしょうか。そんな中、お盆休みは家族団らんの絶好の機会だと言えます。
近年は、お盆に家族旅行に出かける人も増えています。それ自体は悪いことではありません。むしろ家族の絆を深める良い機会と言えるでしょう。
ですが、だからといってお盆が持つ本来の意味まで忘れたくはないものです。お墓参りの時間を設けたり、ふと故人を偲んだりする時間も大切にしたいですよね。
家族サービスとご先祖様への感謝。その両立こそが、現代における理想的なお盆の過ごし方なのかもしれません。旅行を計画する際は、ぜひこの点を心に留めておきたいですね。
「家族」と「先祖」、両方を大事にするバランス感覚が問われていると言えるでしょう。
混雑で高額になる旅行は賢明ではないから
お盆休みに旅行を避けるべき理由は、経済的な面もあります。
言うまでもなく、お盆はどこも大混雑。宿泊費や交通費が平時の1.5倍〜2倍近くに跳ね上がります。この時期にわざわざ旅行に出かけるのは、出費の面から見てもあまり賢明とは言えないでしょう。
たとえば、じゃらんリサーチセンターの調査によると、お盆休み期間(2019年8月10日〜18日)の国内旅行の平均予算は1人あたり約4万1800円。これは通常期(7月)と比べて約18%も高くなっています。
また、人気の観光地は長蛇の列。レジャー施設は人で溢れかえります。せっかくの休暇を混雑に巻き込まれて過ごすのは、正直あまり楽しくありません。
こうして見ると、費用や快適さの面では、お盆を避けて別の時期に旅行した方が満足度は高い、と言えるかもしれません。
お盆の旅行は避けた方が良い、経済的な理由もあるのです。
先祖を敬う心を忘れないようにするため
ここまで様々な理由を挙げてきましたが、根底にあるのは「ご先祖様を敬う心を忘れないように」という思いです。
現代は物質的に豊かになり、精神的な面がおろそかになりがちです。お盆のような伝統行事も、形骸化している部分は否めません。
でも、数多くのご先祖様が命を繋いできてくれたからこそ、今の私たちの生活がある。そのことを忘れたくないものです。
たとえ旅行に出かけるにしても、お盆の意味をしっかりと胸に刻むことが大切です。旅先でお寺に参拝したり、郷土の歴史に触れたりするのも良いでしょう。
また、夜には先祖に思いを馳せ、感謝の気持ちを捧げるのも大切です。精進料理を食べるのもおすすめですね。
お盆の旅行が非常識と言われる背景には、こうした日本人が大切にしてきた価値観があります。旅行が悪いわけでは決してありませんが、心のどこかで節度を保つ意識も持ちたいですね。
故人を偲び感謝する時期だから
そして、お盆が故人に感謝し、偲ぶ時期だからこそ、安易な旅行は控えた方が良いのです。
現代は物質的な豊かさを追求しすぎるあまり、「感謝の心」を忘れがちです。特に若者の中には、お盆を単なる休暇ぐらいにしか考えていない人もいるでしょう。
しかし、私たちが今ある生活は、先祖の並々ならぬ努力の上に成り立っています。特に戦前の世代は、食うや食わずの厳しい状況の中で懸命に生きてきました。
そのような苦労を思えば、この時期くらいは故人のことを偲び、感謝の気持ちを示すべきです。お墓参りはもちろん、帰省して親族と交流を深めるのも大切でしょう。
旅行よりも、家族の絆を見つめ直すことの方が価値があるはずです。
お盆に旅行を控えるという選択は、そうした故人への感謝の気持ちの表れとも言えます。「ご先祖様のおかげさま」という気持ちを、改めて大切にしたい時期ですね。
Q&A:お盆旅行に関するよくある質問
Q. お盆に旅行に行くと先祖の霊に怒られるというのは本当ですか?
A. ご先祖様の霊が本当に怒るかどうかは誰にも分かりません。でも、少なくとも私たち自身が、ご先祖様を敬う心を忘れないようにしたいものです。お墓参りをしたり、故人を偲んだりする時間を少しでも作れると素敵ですね。
Q. 親戚付き合いが煩わしいのですが、帰省しないとマズいですか?
A. 親戚付き合いの程度は、本当に家庭によって様々ですよね。お気持ちは分かります。すべての親戚に顔を出すのは大変かもしれませんが、せめて近しい身内とは連絡を取り合うなど、交流を心がけてみてはいかがでしょうか。たまに顔を合わせることで、安心したり、絆が深まったりすることもありますよ。
Q. 地方に帰省するのは面倒なので、お盆は旅行に出かけたいのですが…。
A. 帰省するかどうかは、各ご家庭の事情が第一です。もし帰省が難しいのであれば、無理をする必要はありません。その代わり、ご自宅や旅行先で、少しだけご先祖様のことを想う時間を作ってみてください。旅先のお寺で静かに手を合わせるだけでも、きっと気持ちは伝わります。
Q. お墓参りは、お盆以外の時期にしても良いのでしょうか?
A. お盆はお墓参りをする重要な機会ですが、それ以外の時期に参拝しても全く問題ありません。春と秋のお彼岸、命日、月命日など、先祖を偲ぶ機会は一年を通じてあります。お盆だけがお墓参りの機会ではないので、都合の良い時期に参拝するのが良いでしょう。
Q. 親がお盆の旅行に反対するのですが、どう説得すれば良いでしょうか?
A. 親御さんの考えを頭ごなしに否定するのは避けたいですね。まずは「どうして反対なのかな?」と、その気持ちにじっくり耳を傾けることが大切です。その上で、「旅行先でお墓参りと同じようにお参りするつもりだよ」というように、ご先祖様を敬う気持ちがあることを伝えましょう。具体的な代替案を示すことが、お互いの理解に繋がるはずです。 +まとめ:お盆の過ごし方は十人十色、大切なのは「心」
まとめ:お盆の過ごし方は家庭によって違う

お盆の旅行を巡る様々な意見、いかがでしたか。
お盆の旅行が「非常識」と言われがちな背景には、「ご先祖様を敬う心を忘れないでほしい」という、古くから受け継がれてきた願いがあるようです。故人に感謝し、家族や親族との絆を確かめ合う大切な機会。だからこそ、単なるレジャーで終わらせてほしくない、という気持ちの表れなのでしょう。
とはいえ、お盆の過ごし方に「これが絶対」という正解はありません。帰省する家庭もあれば、家族旅行を楽しむ家庭もあります。最も大切なのは、それぞれの家庭に合ったやり方で、ご先祖様への感謝の気持ちを忘れないことではないでしょうか。
たとえ旅行に出かけるとしても、「なぜお盆は大切なんだろう?」と家族で話してみるのも素敵です。
普段の生活の中で「ありがとう」の心を育むこと。目先の楽しさだけに目を奪われず、私たちを繋いでくれた命のバトンに想いを馳せること。
その気持ちがあれば、どんなお盆の過ごし方も、きっと素晴らしいものになりますよ。
記事のまとめ
- お盆に旅行に行くことには宗教的・家族的な理由から否定的な見方がある
- お盆は先祖の霊を迎える大切な宗教行事であり、家でお迎えの準備をし、お墓参りに行くのが大切とされている
- お盆は家族が集まり、故人を偲ぶ貴重な機会でもある
- お盆休みはどこも混雑していて、旅行代金も高騰するため、経済的な理由からも旅行は避けた方が賢明
- ただし、お盆の旅行を一概に否定はできず、家族との絆を深める良い機会とも言える
- 大切なのは、お盆の意味を理解した上で行動することだ
- お盆中は心穏やかに過ごすことが大切で、大きな音を立てたり、ケンカをしたりするのは望ましくない
- お盆期間中はパワースポットや心霊スポットには近づかない方が無難だ
- 家族サービスと先祖供養のバランスを取ることが理想的なお盆の過ごし方
- お盆の旅行を自粛することは、故人への感謝の表れであり、「ご先祖様のおかげ」の精神性を大切にすること
- お盆の過ごし方に絶対的な正解はなく、それぞれの家庭なりの方法で先祖を敬う心を忘れないことが肝要